国道をゆっくりと進む旅というのは、言葉と出会う旅でもあります。
こんな川柳をみつけました。 ▽川柳 http://www.i-yan.com/travel/vol5/senryu.html 「ひかっている あなたのマナーと 反射材」 うまいっ!と思いました。何といっても『反射材』がポイントです。 謎かけのネタとしても充分通用しそうですが、私はこの聞き慣れない 『反射材』という言葉の効果に注目しました。 聞き慣れない言葉には、周りの言葉の持つ負のイメージやカッコ悪さを 打ち消す効果がある…という持論があります。「マナーが光ってるよ」 なんて言い回しのわざとらしさが、『反射材』によって脱臭されていると 感じるのです。 例えば、こんな看板を見つけました。 ▽例1 http://www.i-yan.com/travel/vol5/ex1.html 「ゆずりゾーン」。『ゆずり』と柔らかく表現されてはいますが、その行為 には後続車のプレッシャーに対する恐怖感とか、遅くてごめんなさいという 申し訳なさが見え隠れします。しかし『ゾーン』をくっつけることで、 なんだかほのぼのとした言葉になってはいませんか。 もう一つ、すごくわかりにくい例がこちら。 ▽例2 http://www.i-yan.com/travel/vol5/ex2.html 「かみへばるアンビシャスひろば」。『かみへばる』は上辺春という地名です。 これをパッと見て、思わず笑みが湧いてしまうのは、私達にとっては 『かみへばる』も『アンビシャス』も聞き慣れない言葉だからでしょう。 『かみへばる』という言葉を聞いて描くイメージがあるからこそ、 『アンビシャス』という言葉との取り合わせが生まれるのです。 そして、その取り合わせは上辺春の人々にとって素敵なものであると、 この名称が採用されたことから憶測できます。 この取り合わせの妙を疑似体験するには、イメージを描ける言葉を 使うのが手っ取り早い方法です。読者のみなさんにとって身近な地名を 『かみへばる』の代わりに当てはめてみて下さい。 (語呂を保つために5文字で、とてもローカルなものが望ましいです。) ……どうでしょうか。迂闊にも「ちょっとかっこいいかも…」と感じて しまったのではないでしょうか?私はうっかりそう感じました。 言葉の面白さを感じていただけたら幸いです。ではまた来週。 |
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