国ごとに違いのある食文化。台湾で食事をしていて、いくつかのことに気付きました。
●「いただきます」は言いません。 「さあどうぞ」と、食卓に料理がどーんと並ぶと、各人がそれぞれのタイミ ングで、小皿に取り分けて食べ始めます。全員が揃っていなくとも、 ご飯をよそっていなくとも、おかずを全部並べていなくとも関係ありません。 ●食べたいように食べればいいじゃん エビや骨付き肉などは手を使って食べるので、食卓にティッシュは欠かせません。 骨や殻や種や皮など、食べられないものの扱いは基本的に適当です。余った 皿や紙コップがあればそこへ入れるし、無ければ食卓の上にまとめておきます。 食卓が汚れるのを見越して、あらかじめ新聞紙を敷いておいたりもします。 ●間食するのは自然なこと。 手近に食べ物をキープして好きなときに食べるのも特徴の一つです。夜、寝る前 でも、仕事の合間にでも、お腹が空いたら食べます。ショッピングモールの店員が 客が居ない時にお店の中で堂々と食事をしているのを見かけたりもします。 これらの特徴は、マナーやタブーを極力減らして、食に没頭し楽しむことに重点が 置かれているように思います。湧いた食欲は気兼ね無く存分に満たせばいいさ、と。 「ごはん食べた?」という挨拶があるように、台湾の人々にとって食は、誰とでも 話せる身近な話題でもあり、重要な娯楽でもあるようです。 それでは、日本の「いただきます」って何だろうと考えてみました。食卓に 食事を全て並べ、食事を採る人がみんな揃ったところで「いただきます」 と言います。これは、各自の取り分(食べて良い量)を把握し確認し合う 暗黙の了解と考えることができるのではないでしょうか。 また、間食やつまみ食いは「意地汚い」と表現されたりします。どうやら日本の 食事のマナーの根底には、食事の量はみな平等に割り当てられるべきだという 理念がありそうです。私たち日本人の多くが、人前でたくさん食べることを恥ずか しく思ったり、小腹が空いた時に“人知れずこっそりと”食欲を満たしたりする のは、「いただきます」の範疇を越えて食べることはマナー違反だと感じている からかも知れません。 Vol.012 2005/08/01 |
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