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香港の街を歩くと
香港に着き街を歩くと、肌の黒い人・白い人、腕が太く背が大きい人、頬が
こけて目つきが鋭い人、色とりどりの民族衣装の人々、黒装束の女性、腹が
異常に出てるおじさんおばさん…と、今までに無く多種多様な人々の中にい
ました。あ~、海外に来たなぁ~!と、この旅で初めて思った瞬間でした。

観光地には付き物の客引きも多く居ます。「トケイトケイ。ニセモノヤスイ」
と腕時計を見せてきたり、「インドカリー?」と言われて目を輝かせて立ち
止まると、他のカレー屋の客引きも集まってきて「ウチにしろ」「ウチのが
ウマい」とビラを押し付けてきたりと、彼らはとてもタフに生きています。

そして荷物を背負って歩いていれば、宿の客引きはすぐに見つけてくれます。
「ゲストハウス?」と言われて立ち止まった瞬間には、既に2人の客引きが
私の宿泊先を巡って争いを始めていました。一人は恰幅の良いアジア系の青
年。もう一人はアラブ系の中年男性。『いくら?』と2人に聞くと、アジア
系の青年は「ドミトリーなら50ドル」と答えました。調べてた相場の底値
です。アラブ系の男に視線を投げると、彼は少し考えた後に「30!」と
言いました。『本当?部屋を見せて』と言いましたが、その値段は悔し紛れ
の冗談だったようで、アラブ系の男は首を振って去っていきました。

青年の後に着いて行きながら、先ほどまでアラブ系の男の言い値に傾きかけ
ていた私は、何となくばつが悪く『30ドルなんて、安過ぎてコワいよね』
なんて言って、青年の機嫌を取りました。しばらく歩くと彼は大きな建物へ
と入って行きました。その建物の看板を見ると「美麗都大厦」とあります。
偶然にもそれは探していた宿のある建物でした。『13階のこの宿でしょ?』
と言い、持っいた住所のメモを見せると青年は一瞥して「オーそうそう」と
言いました。もうちょっと驚いてくれても良いじゃん…。


Vol.014 2005/08/15



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