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越境:東興~モンカイ(中国出国・ベトナム入国)
中国の国境町の東興(ドンシン)にあるバスターミナルから、おっちゃんの
漕ぐ座席つきの自転車に乗ること10分少々。ベトナムとの国境近辺へ到着し
ました。

そこには建物が二つあり、それぞれのゲートの上に「Enter」と「Exit」と
書いてあります。ええと…どっちだ??単に「入り口」「出口」という意味
なら「Enter」へ入るべきだし、「中国への入り口」「中国からの出口」と
いう意味なら「Exit」へ入るべきです。周りに人はおらず、建物の中の係員
がじろじろ見てます。怖わっ。

意を決して「Exit」に入りました。…ほら、この一文ですら違和感があります。
この選択は正解だったようで、カウンターの前まで行くと無言で出国カード
を渡されました。中国の出入国は常に無言です。係員はパスポートをじっく
りと見て、たまにこちらの顔をちらっと見て、端末を叩いて照会をして、出
国の判を押してパスポートを返してきました。


妙な緊張感の漂う建物を抜けると、視界が一気に開けました。左右の眼下に
は国境の川が広がり、目の前にはまっすぐ長い石橋がつづきます。その先に
ベトナムへの入り口となる建物が見えました。見慣れない発声記号の付いた
アルファベットが目に新鮮です。

 ▽国境線上から見るベトナム
 http://www.i-yan.com/travel/vol15/border_vietnam.html


振り返ると「中 華 人 民 共 和 国」というでかい文字の上に旗がたなびい
ていました。さきほどの緊張感を思い出し、ちょっとドキドキしながらシャッ
ターを切りました。

 ▽国境線上から見る中国
 http://www.i-yan.com/travel/vol15/border_china.html


   ◇◇◇


さあ、気分を入れ替えてベトナムへの入国手続きです。係員の服装が違うの
を見て、ここからは中国から見ても異文化なんだと思い出しました。係員は
こちらを見るなり「ヒッピー?」と言いニヤリと笑いました。気さくです。

パスポートを見せ、受け取ったA4サイズの書類に色々と記入していきます。
 “○○グラム以上の純金を所持しているか?”
 “以下の税金のかかる品を持っているか?”
 “乳児が同行しているか?”
などの英文の設問を、ひとつずつ解読して回答します。途中から暇な係員が
隣について、「ノー」「ノー」と答えを教えてくれました。全部「No」を
回答すれば問題は無いようでした。

入国のスタンプをもらった後は手荷物検査です。ここの係員も、もーホント
暇を持て余してて、「袋の中身をひとつひとつこの台の上に出して下さい」
と。おいー、まずこの横にあるX線の機械を使ってくれよ。

係員は所持品のひとつひとつを手にとって観察していきます。ティッシュペ
ーパーや本や洗面用具には目もくれず、見慣れないものや電化製品を手に取
り質問をしてきます。特に係員の興味をひいたのがボイスレコーダーでした。
録音・再生をしてみせると「これはいくらくらいするんだ?」と聞いてきて、
最後には「これをくれないか?」と言ってきました。ノーノー。ありえなーい。


なんか中国からの出国とは別の意味で疲れつつ、やっとのことで建物から出
ると、バイクタクシーがわっと寄ってきました。無理無理ムリ。その場でく
るりとUターンして建物の壁にもたれて座り込みました。しばらくそこで休
憩しつつ、ベトナムって国の人々は意外とやり手かも知れない…との予感を
感じていました。


Vol.015 2005/08/22



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