ATMや銀行の近くには、一日中ヤミ両替屋がうろついています。たいてい40歳
くらいのおばちゃんで、手招きして小声で話をもちかけ、いかにもコッソリやっ てるように演出していますが、それほどダークサイドなものでもなさそうです。 取引はまず換金レートの確定から始まります。電卓でレートを持ちかけ、高いの 安いのと交渉をしていきます。1万円はおよそ140万~150万ドンですが、相手は もちろん安めの125万ドンくらいから探りを入れてきます。そこで電卓に150万ド ンと入力してみると、本日の日付が入ったいかにも公式っぽい書類を出してきて、 それは高すぎる、正しいのはこのレートだと主張しだします。 それでも譲らなければ、相手はそのうち高めのレートでも手を打ち、分厚い財布 を開けて札束を出してきます。しかしほぼ確実に渡す金額を誤魔化そうとしてき ます。『1円:147ドン』で手を打ち、壱万円分を両替する場合を例とすると、 おばちゃんは以下のようにお金を渡してきます。 「テン」と言って10万ドン札×10枚の束を渡し、「ワン・ツー・スリー・フォー」 と言いながら2万ドン札×5枚の束や、5000ドン札×10枚の束を渡してきます。 最後に「セブン」と言って7000ドンを渡してきます。そして「OK?」と。 これ、全然OKじゃねーわけです。 ・手口その1.端数の桁を誤魔化す 最後に7000ドンを渡してきましたが、これは本来は7万ドンのはずです。 7000ドンを受け取ると、147万ドンではなく、140万7000ドンしかもらえてません。 桁が多くなるほど見失いがちです。ひどいケースでは104万7000ドンを渡してきます。 ・手口その2.札束で誤魔化す おばちゃんは5000ドン札×10枚の、5万ドン分の札束を「10万ドン」として数え ながら渡してきます。バレバレですが、バレなきゃそのまま押し通す気満々です。 見慣れないお札の数々に翻弄されると見落としてしまいそうになります。 抗議をして7000ドンを7万ドンと取り替えてもらい、さらに5万ドン分の束を指 して「これは10万ドン札に代えて」と言うとおばちゃんは「今10万ドン札が無い」 と苦しい言い訳をした後に「やっぱりナシナシ」と言って札束を全て取り上げて しまいました。 相手の手の内を見切っただけでは、むこうもプロなので割の良い取引はできませ ん。なんとかしてその仕掛けを逆手に取る方法は無いかと企んでいます。 Vol.016 2005/08/29 |
Copyright © 2013 i-yan.com All Rights Reserved.