ベトナム中部に位置するドンハの北側には、ベトナムが南北に分断されていた
時代に軍事境界線となっていたベンハイ川が流れています。その近隣には戦場 がそのまま放置されたかのようなスポットがいくつかあります。 「ドンハに来たからには見に行った方が良い。そうすれば戦争を より知ることができると思うぞ。それ以外には特に何も無い町さ」 そう言うバイクタクシー乗りのビンは、ベトナムのバイタク業界には珍しい信 頼できるおっちゃんです。英語が堪能なビンに説明をしてもらいつつ、丸一日 のツアーに連れて行ってもらいました。 町からいくらも離れる前に、まず衝撃的な光景を目にしました。地雷除去活動 です。舗装された道路のすぐ脇のエリアで、作業員が金属探知機をブラブラさ せながらテクテクと歩いています。 ▽地雷を探す作業員 http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet1.html ベトナムに埋設されている地雷は約350万個と言われています。そして除去さ れる地雷の数は全世界で年間10万個ほど。この地雷除去活動の光景は、これか らもずっとずっと続けられます。 「この先にボム・クレーターがあるぞ」そう言ってビンはバイクを降りて草原 へと入っていきました。後に続いて、念のためビンの足跡を踏みながらついて いくと… ▽ボム・クレーター http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet2.html それは自然に埋もれた“自然にはできない”地形でした。山も川も無い平原に ぽっかりとできた丸い池。この穴ができるほどの爆発とはどれほどのものなの か、想像することができませんでした。 かつてのアメリカ軍の基地があった場所へと到着しました。建物は崩れた壁の 一部が残るくらいでしたが、その横に戦車が野ざらしにされていました。 ▽アメリカ軍の戦車 http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet3.html 多少錆びてはいますが、その外殻は何ら損傷がありません。厚さ2cmの鉄板 は圧倒的に頑丈で人の力でどうこうできる代物ではありません。この戦車が駆 け巡る戦場を想像し、またこの戦車すらをも破壊する砲弾や対戦車地雷の威力 を想像しました。 人がやっと通れる薮の中の道を通り抜けると、四方を高い草に囲まれた、四角 いコンクリートの塊がありました。 「これはアメリカのバンカー(えんぺい壕)だ」 とビン。境界線に向けて空けられた大きな口にはかつて鉄の扉が取り付けられ ていた跡があります。壁や天井には無数の弾痕があり、当時の戦闘の激しさを 思わせます。 ▽アメリカ軍のバンカー http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet4.html Vol.017 2005/09/06 |
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