料理を運んだり保存したりする時、ビニールラップやタッパーはとても便利で
す。台所に立っていてそれらが無いと、非常に不便だと感じる方も多いのでは 無いでしょうか。しかし不便な環境とは、工夫をすることで改善させられる余 地が大きいともいえます。そして人々の工夫と試行の反復は、ときに非常に理 に適った仕組みを発見します。ラオスで出会った、天然資源をうまく使った名 作とも呼べる包装を紹介します。 ▽ソム・ムー(発酵肉) http://www.i-yan.com/travel/vol20/sommu.html ひとくちサイズの発酵肉が入っている緑色の小包みのようなものがよく惣菜屋 の軒先にたわわにぶら下がっています。これは豚皮に唐辛子や米を混ぜたもの をバナナの葉で何層にも包んだものです。包装されて売り場に並びながら発酵 がすすむという納豆のようなヤツです。紐や輪ゴムできつく縛ってあるので、 食品部分の機密性は非常に高いといえます。発酵肉の香りは白菜の漬け物にも 似ていて、コッテリとした風味とキムチのような酸味があり、コリコリとした 歯触り。飯にも酒にも愛称抜群です。 ▽ココナッツもち米 http://www.i-yan.com/travel/vol20/coconuts.html 竹筒の節を底にしてココナッツミルクともち米を詰め、葉や木の繊維で栓をし て、密閉状態で焼いたものです。ほんのり甘い米粒は充分に火が通り砕けてい ます。竹の繊維を剥くと、竹筒の内側の薄皮が米の表面に貼り付いて全体を覆っ ているのがわかります。オレンジの果実の房がジューシーな果実を含んだまま、 スポンジ状の皮に密閉されているのと同様に、もち米は柔らかさを存分に残し たまま竹筒の内側の薄皮に真空パックされているかのようです。 これらの完成度の高い技術に出会うと、工業製品があろうと無かろうと人々の 営みの根本は変わらないんだなと再確認させられます。清潔で効率的な工業製 品を使おうと、山から切り出して洗っただけの天然資源を使おうと、人々はよ り便利で機能的なものを考えるし、包装するその手先は同じ様に丁寧です。 Vol.020 2005/09/26 |
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