旅の最中のよい香りindex


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┃   旅の最中のよい香り Vol.016
│     2005/08/29 http://www.i-yan.com/
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 ○私は今ここにいます : ベトナム ハノイ

シン・チャオ。ベトナムの首都、ハノイにいます。
国境の町モンカイからハノイまでは、バスで9時間ほどの道のりでした。

「ベトナムに行く度になぜか再会するベトナム人がいる。空港とかカフェとかで
 偶然居合わせるんだ。こないだ行った時は彼は覚えてなかったみたいだけど」

「それ、ベトナム人の見分けができてないだけじゃないか?」

なんて笑い話が現実になってしまうくらい、ベトナム人は見分けがつきません。
『細身で目鼻だちがはっきりしてて爽やかな印象の青年』とか、
『ニヤリと笑う初老の渋いおっちゃん』とか、そんな覚え方をすると、全く同じ
特徴を持った人がそこらじゅうにいて、相手を見失ってしまいます。


──今号のもくじ──

  ■ボイレコスペシャル:モンカイでぼろ儲けの3人組の手口
  ■ハノイのヤミ両替屋さんの手口
  ◆連載:こどもえま

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□ボイレコスペシャル:モンカイでぼろ儲けの3人組の手口

国境に近いモンカイの街のまんなかに、昼夜を問わず多くの人が出入りしている
常設市場があります。そこには、乾物や生活用品、アイスや焼きたてソーセージ、
中国産と思われる熊の手や蛇が漬け込まれた酒、貴金属類、スパイスに豆類にお
菓子、本、服、などなどなんでもあります。

 ▽その喧騒を聞きながらお楽しみ下さい
 http://www.i-yan.com/travel/vol16/ichiba.mp3

 ▽昼間、遠めから見た常設市場
 http://www.i-yan.com/travel/vol16/ichiba_hiru.html
 ▽夜の市場の様子と商品の数々
 http://www.i-yan.com/travel/vol16/ichiba_yoru.html

珍しいものでは、ココナッツから作られた醤油のようなものを見つけました。
気になって味見をさせてもらいました。黒くどろっとしていて塩気は無く、味は
とても複雑です。黒ビールを濃縮したような癖のある風味でした。

 ▽ココナッツ醤
 http://www.i-yan.com/travel/vol16/coco.html


端っこのほうには、ルーレットや射的などのギャンブルチックな屋台が繁盛して
います。その中でも異様な熱気に包まれている屋台がありました。仕切っている
のは怪しい3人の男。1人は10000ドンの束で口元を隠しながらマイクでしゃべり
続けます。かなりエコーが響いており独特の雰囲気があります。
 (※音声ファイルの“1:30”あたりから聞こえます)

他の2人の男はそれぞれバケツを持ち、お金を受け取りながらバケツにぎっしり
詰められた木の棒を客に引かせています。

 ▽人で溢れるギャンブル屋台
 http://www.i-yan.com/travel/vol16/yatai.html

棒には何本も赤い線が刻まれており、客はそれを一生懸命数えています。どうや
らこのゲームは棒を何本か引いて、赤い線の合計数で当たりハズレが決まるゲー
ムのようです。3本引くなら3000ドン、4本引くなら5000ドン。ちなみに屋台で
食べるご飯は10000ドンくらいです。

景品のラインナップは『50000ドン相当の鍋!』『150000ドン相当のアイロン!』
『200000ドン相当の炊飯器!』などなど。金額が入っているあたり、かなりチャ
レンジ魂を煽られます。一番の目玉商品『30万ドン相当の鍋セット』は、合計が
『46』になった時だけもらえます。見ている間にもあるお父さんが『45』を叩き
出しており、司会の男も「45!?惜しいですねー」とコメントをしていました。
お父さんは諦めきれず、何度も数えなおして確認していました。

 ▽景品と当たり番号
 http://www.i-yan.com/travel/vol16/keihin.html



次々と挑戦者は現れますが、当たりそうで当たらない状況が続きます。どういう
仕掛けになっているののでしょうか。まず景品の当たり番号を見てみると
 5 7 8 10 11 13 14 16 17 19 20 22 … 
となっており、3の倍数だけが抜けています。次に客の引いた棒を覗き見すると、
見た限りでは棒に刻まれた線の数は全て3の倍数でした。具体的には
 3 6 9 12 15
の5通りの数の線が刻まれた棒しかありません。これらの3の倍数はどんな組み
合わせで足し合わせても、当然ながら3の倍数にしかなりません。


しかし悲しいかな、「運試しに」というノリで、また「みてろ、一発あててみせ
る」と意気込んで、次から次へと参加者は現れます。人が人を呼び3人組みはか
なりぼろ儲けしているようでした。こういう商売が成り立ってしまうんだなあ…


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□ハノイのヤミ両替屋さんの手口

ATMや銀行の近くには、一日中ヤミ両替屋がうろついています。たいてい40歳
くらいのおばちゃんで、手招きして小声で話をもちかけ、いかにもコッソリやっ
てるように演出していますが、それほどダークサイドなものでもなさそうです。


取引はまず換金レートの確定から始まります。電卓でレートを持ちかけ、高いの
安いのと交渉をしていきます。1万円はおよそ140万〜150万ドンですが、相手は
もちろん安めの125万ドンくらいから探りを入れてきます。そこで電卓に150万ド
ンと入力してみると、本日の日付が入ったいかにも公式っぽい書類を出してきて、
それは高すぎる、正しいのはこのレートだと主張しだします。

それでも譲らなければ、相手はそのうち高めのレートでも手を打ち、分厚い財布
を開けて札束を出してきます。しかしほぼ確実に渡す金額を誤魔化そうとしてき
ます。『1円:147ドン』で手を打ち、壱万円分を両替する場合を例とすると、
おばちゃんは以下のようにお金を渡してきます。

「テン」と言って10万ドン札×10枚の束を渡し、「ワン・ツー・スリー・フォー」
と言いながら2万ドン札×5枚の束や、5000ドン札×10枚の束を渡してきます。
最後に「セブン」と言って7000ドンを渡してきます。そして「OK?」と。
これ、全然OKじゃねーわけです。


・手口その1.端数の桁を誤魔化す

最後に7000ドンを渡してきましたが、これは本来は7万ドンのはずです。
7000ドンを受け取ると、147万ドンではなく、140万7000ドンしかもらえてません。
もっと露骨な場合は、100万ドンと4万7000ドンを渡されます。


・手口その2.札束で誤魔化す

おばちゃんは5000ドン札×10枚の、5万ドン分の札束を「10万ドン」として数え
ながら渡してきます。バレバレですが、バレなきゃそのまま押し通す気満々です。
見慣れないお札の数々に翻弄されると見落としてしまいそうになります。



抗議をして7000ドンを7万ドンと取り替えてもらい、さらに5万ドン分の束を指
して「これは10万ドン札に代えて」と言うとおばちゃんは「今10万ドン札が無い」
と苦しい言い訳をした後に「やっぱりナシナシ」と言って札束を全て取り上げて
しまいました。

相手の手の内を見切っただけでは、むこうもプロなので割の良い取引はできませ
ん。なんとかしてその仕掛けを逆手に取る方法は無いかと企んでいます。


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◇今週のこどもえま

 ▽こどもえま
 http://www.i-yan.com/travel/vol13/kodomo050809.html


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