旅の最中のよい香りindex


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┃   旅の最中のよい香り Vol.017
│     2005/09/06 http://www.i-yan.com/
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 ○私は今ここにいます : ラオス サバナケット

サバイディー、いいやんです。
ラオスの中南部に位置するサバナケットという町にいます。
「サワナケート」とか「サヴァナケート」とか表記する場合もあります。

前回発信したベトナムのハノイから列車に乗り、ベトナム中部のドンハという
町へ行きました。そこからバスに乗って国境を越え、6時間程でサバナケット
へと到着しました。

──今号のもくじ──

  ■ベトナム・ドンハ発:ベトナム戦争の爪痕
  ◆連載:今週のボイレコ
  ■ラオス・サバナケット発:花束とロウソクの祭
  ◆連載:What's you mean ?

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□ベトナム戦争の爪痕

ベトナム中部に位置するドンハの北側には、ベトナムが南北に分断されていた
時代に軍事境界線となっていたベンハイ川が流れています。その近隣には戦場
がそのまま放置されたかのようなスポットがいくつかあります。
「ドンハに来たからには見に行った方が良い。そうすれば戦争を
 より知ることができると思うぞ。それ以外には特に何も無い町さ」
そう言うバイクタクシー乗りのビンは、ベトナムのバイタク業界には珍しい信
頼できるおっちゃんです。英語が堪能なビンに説明をしてもらいつつ、丸一日
のツアーに連れて行ってもらいました。


町からいくらも離れる前に、まず衝撃的な光景を目にしました。地雷除去活動
です。舗装された道路のすぐ脇のエリアで、作業員が金属探知機をブラブラさ
せながら平然と歩いています。

 ▽地雷を探す作業員
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet1.html

ベトナムに埋設されている地雷は約350万個と言われています。一方で除去さ
れる地雷は全世界で年間10万個ほど。この地雷除去活動の光景は、これからも
ずっとずっと続いていきます。



「この先にボム・クレーターがあるぞ」そう言ってビンはバイクを降りて草原
へと入っていきました。後に続いて、念のためビンの足跡を踏みながらついて
いくと…

 ▽ボム・クレーター
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet2.html

それは自然に埋もれた“自然にはできない”地形でした。山も川も無い平原に
ぽっかりとできた丸い池。この穴ができるほどの爆発とはどれほどのものなの
か、想像することができませんでした。



かつてのアメリカ軍の基地があった場所へと到着しました。建物は崩れた壁の
一部が残るくらいでしたが、その横に戦車が野ざらしにされていました。

 ▽アメリカ軍の戦車
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet3.html

多少錆びてはいますが、その外殻は何ら損傷がありません。厚さ2cmの鉄板
は圧倒的に頑丈で人の力でどうこうできる代物ではありません。この戦車が駆
け巡る戦場を想像し、またこの戦車すらをも破壊する砲弾や対戦車地雷の威力
を想像しました。



人がやっと通れる薮の中の道を通り抜けると、四方を高い草に囲まれた、四角
いコンクリートの塊がありました。
「これはアメリカのバンカー(えんぺい壕)だ」
とビン。境界線に向けて空けられた大きな口にはかつて鉄の扉が取り付けられ
ていた跡があります。壁や天井には無数の弾痕があり、当時の戦闘の激しさを
思わせます。

 ▽アメリカ軍のバンカー
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/viet4.html


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◇今週のボイレコ

ベトナム戦争での戦死者が眠る国際墓地。墓標が一方を向いて整然と並ぶ様は
整列した兵士を思わせます。墓標には生年月日と名前、入隊年月と亡くなった
年月日が刻まれています。たくさんの墓標の中には、9歳で入隊し、12歳で亡
くなった少年のものもありました。中央の大きな慰霊碑に向かい、お経を唱え
る声が今日も響きます。

 ▽慰霊碑の前で唱えられるお経
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/ireihi.html


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□サバナケット発:花束とロウソクの祭

「今夜はお祭りだから、夜になると花束とロウソクを持って、
 たくさんの人がお寺に集まるよ」

サバナケットで知り合った僧のブンタンはそう言いました。彼は今っ子の僧
なので、オレンジ色の袈裟にチャック付きのポケットがあり、そこから白い
イヤホンが耳へと伸びています。おもしろそうなので、その祭に加わってみ
ることにしました。お寺へ向かう途中の家々の軒先にはロウソクが並べられ、
火が灯っています。

お寺には既にたくさんの人がおり、皆、手に小さな花束を持っています。入
り口で1000Kip(約11円)を渡し、私も花束を受け取って中へと入りました。
花と共に3本のお香が束ねられており、お香の先にロウソクがくくりつけて
あります。お香は日本のものと違い、真ん中に竹の芯が入っています。

 ▽祭に使われる花束
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/hanataba.html

やがて誰となくロウソクに火が灯されていき、お寺の庭は小さなオレンジ色
の灯りで埋め尽くされました。皆、ひざまずいて花束を持ったまま手を合わ
せています。

 ▽お寺を埋め尽くす人
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/oinori.html

中央の建物から聞こえていたお経が終わると、各自の花束のお香に火が点け
られ、人々は立ち上がって建物の周りを歩き始めました。人がひしめいて、
大量の煙が立ち込めています。そのまま時計回りに3周すると人並みは石の
祭壇へと向かいました。そして手に手に持っていた花束は祭壇へ立てかけら
れ、人々は手を合わせて何かを祈っていました。

 ▽祭壇へと捧げられる花束
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/saidan.html

この祭は年に4回行われるそうです。参加者は若者が多く、和気藹々と語り
合いながら式は進行していきます。偶然にもこの祭りに居合わせることがで
きたことは、とても印象深い経験となりました。


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◇今週のWhat's you mean ?

旅が海外へと進出したことで、絵馬が仕入れられなくなってしまったので、ご
好評いただいていた『こどもえま』は連載終了とさせていただきます。今週よ
り『何かを伝えようとしているモノの意図を推測する』コーナーが始まります。

 ▽What's you mean ?
 http://www.i-yan.com/travel/vol17/what050906.html

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※ジャンクフードから伝統料理、怪しい缶詰や調味料に至るまで、
 世界各国の食べ物の情報を募集しています。大概のものは口に入れて
 レポートいたします。  宛て先はこちらまで→ myugo60@hotmail.com

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│      発行者:いいやん

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