旅の最中のよい香りindex


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┃   旅の最中のよい香り Vol.026
│     2005/11/07 http://www.i-yan.com/
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 ○私は今ここにいます : タイ国 ウボンラチャタニ県 ウボンラチャタニ市

サワッディーカップ!いいやんです。
前回発信のチェンマイからバスで南東へと移動を繰り返し、コンケーン、スリ
ンで滞在した後に、ウボンラチャタニへとやってきました。この県はラオスと
カンボジアに接するタイの最東端に位置します。3国が接する国境地域は、そ
の森林の美しさから『エメラルド・トライアングル』と呼ばれるそうです。


──今号のもくじ──

  ■コンケーンってどこなのさ?
  ◆連載:今週のボイレコ
  ■物件紹介:あんまり安眠できないホテル
  ◆連載:What's you mean ?

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□コンケーンってどこなのさ?

「スリン行きの直通のバスは高いので、どこかを経由して行きたいんですが」
「それならコンケーン経由が良いですよ。コンケーンまでは405バーツです」
「コンケーンからスリンはいくらですか?」
「それはここではわかりません」
「念のため、買う前にコンケーンの場所を地図で確認したいです」
「ここに地図は無いので、あちらのインフォメーションへどうぞ」

チェンマイのバスターミナルで、スリンへ向かう方法を検討していました。こ
こには各方面ごとのチケット売り場の他に、ツーリストインフォメーションと
ツーリストポリスのオフィスが併設されています。インフォメーションの窓口
には愛想の無い女性が書類と向き合っていました。

「こんにちは、コンケーンてどこですか?」
「コンケーン行きのチケット売り場はあちらです」
「コンケーンがどこなのか知りたいので地図を見たいんです」
「ここはチェンマイなのでチェンマイの地図しかありません」
「タイ全体の地図をどこかで見ることはできませんか?」
「書店でお買い求め下さい」
「欲しいわけではなくて、見るだけで良いんです」
「ツーリストポリスへ行って下さい」

意図がうまく伝わらないというのは非常にもどかしいものです。ツーリストポ
リスのオフィスはあいにく空だったので、歩いている警察官を呼び止めなくて
はなりません。基本的に歩いている人というのは忙しいものです。

「こんにちは」
「ん、旅行者か。どこに行きたいんだ?」
「………えー。スリン」
「スリン行きのチケットは向こうの窓口で…」
「あ、すいませんわかってます。直通のバスが高いのでコンケーン経由で…」
「コンケーン行きのチケットはそこの窓口で買…」
「いやそれもわかってて…」
「よしわかった。いいか、君には2つの選択肢がある。1つはコンケーン経由
 でスリンへ行く方法。もう1つはウドンタニ経由で行く方法。さあ選べ」
「………選べません。コンケーンの場所がわからないからです」
「よーしわかった着いて来い」

人の話を最後まで聞いてくれない警察官は、私をコンケーン行きのチケット売
り場へと連れて行くと「ここで聞きなさい」と言って立ち去ってしまいました。
ぐるっと一回りして振り出しへと戻ってしまいました。さて…。

タイの人々はとても親切です。うろうろしているだけで「どこへ行くんだ?」
と声をかけてくれます。その度に「スリンへ行きたい」というところから説明
をして、先ほどの警察官と同じやりとりを繰り返します。やっと地図の話まで
伝え終えると、人々は他の人へとバトンタッチして去って行ってしまいます。

十数人のたらい回しを経たのちに辿り着いた窓口のお姉さんは、微笑みながら
こう言いました。
「ここはバンコク行きのチケット売り場だから、コンケーンの地図は無いわよ」
……だろうねえ。


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◇今週のボイレコ

かの地、コンケーンの湖の先にそびえる寺院『ワット・ノン・ワン』は、正方
形のフロアの上にそれより一回り小さな正方形のフロアを次々と積み上げたよ
うな造りをしています。寺院の全体像は2本の放物線を描きスラリと空へと伸
びていきます。各フロアの軒下には金属製の風鈴が下がり、風にゆれる度に澄
んだ音を奏でています。

 ▽ワット・ノン・ワンの風鈴の音
 http://www.i-yan.com/travel/vol26/wat_nong_wang.html


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□物件紹介:あんまり安眠できないホテル

コンケーンを12時に出発したバスは、夕方にはスリンへと到着しました。スリ
ンはあまり観光向けの都市ではないのか、歩けど歩けど「ゲストハウス」の看
板を見つけることはできませんでした。地元のおばちゃんに聞いた安ホテルへ
とチェックインする頃にはあたりはすっかり暗くなっていました。

 ▽アンマリンホテル
 http://www.i-yan.com/travel/vol26/bukken_surin.html

「あー、やっぱこういうのも良いなぁ〜」
荷を置いて寝るだけの、ひたすら安い宿をてんてんとした後では、TVに石鹸
にシャワーに飲み水と一通りのものが部屋に用意され、フロントにお菓子やら
ジュースやらが売っているホテルはあまりにも快適です。昨日の宿は半額でし
たが、部屋に電気プラグは無いわ共同トイレの鍵は壊れてるわ、さんざんでした。

ひと段落してノートPCで日記を書いていると、ピトッと画面に虫が飛びつく
のが気になりました。見上げると蛍光灯の周りに小さな虫がたくさん飛び回っ
ています。その虫は小蝿をさらに小さくしたような、人畜無害そうな体長2ミ
リほどの羽虫でした。指先でつまめるほど反応は鈍くてあまり活動的には見え
ません。揃えて閉じられた羽と短い足は何となく愛嬌があり、何をするでもな
く画面をよちよち登っていきます。

 ▽ちっちゃな羽虫
 http://www.i-yan.com/travel/vol26/hamushi.html

日記を書き終えて電気を消し、天井のファンを回したままベッドに横たわりま
した。……しばらくすると、ポツ、ポツ、と、腕に顔に例の虫がとまった感触
がします。うーん、うっとうしい。払っても無視してもポツポツは止みません。

堪えかねて明かりを点けました。ベッドを見ると一面に黒い点々が見えます。
窓から射すわずかな光にぼんやり照らされた白いシーツ目指して、部屋中の羽
虫たちが集まり、天井からの風に乗ってベッドへと降り注いだようです。


「これは寝てられんっ…」
虫嫌いではありませんが、虫に埋もれて眠るのはまっぴらです。備品のバスタ
オルを手にシーツの虫たちを払い落としました。蛍光灯を見ると飛び交う羽虫
が数十匹。天井や壁にとまって休んでいるのが…うわ。す、数百匹。

時間は深夜1時。今から部屋を替えてもらうのも面倒です。眠い目をこすりつ
つ、この状況を打破する最善策を考えなくてはなりませんでした。


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◇今週のWhat's you mean ?

 ▽What's you mean ?
 http://www.i-yan.com/travel/vol26/what051106.html


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