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┃ 旅の最中のよい香り Vol.027
│ 2005/11/21 http://www.i-yan.com/
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○私は今ここにいます : ベトナム社会主義共和国 カインホア省 ニャチャン
シンチャオ!いいやんです。
前回発信の、タイ・ウボンラチャタニから一路東へ。国境を越えてラオスの
パークセーを訪れました。そこから北上したサバナケットで国際バスに乗り、
ベトナムのフエへと向かい、列車で南下してニャチャンへとやってきました。
久しぶりのベトナム、そして久しぶりに見る海。波が激しくて海水浴は出来ま
せんが、海岸はきれいに整備され、欧米人の観光客がたくさん歩いています。
──今号のもくじ──
■ラオス・パークセー発:アイスコーヒーの時間
◆連載:今週のボイレコ
■ベトナム・フエ発:ベトナム人男性ソンのこと
◆連載:What's you mean ?
◆サイト更新情報
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□アイスコーヒーの時間
ラオスの南部の都市パークセー近郊は、パークソンコーヒーの産地として知ら
れています。市場や街角には簡素なつくりのコーヒー屋があり、地元の人々の
憩いの場となっています。逃げ場の無い、ギラギラ熱い陽射しから開放されて
席に着き、一番に欲しいのはやっぱり冷たい飲みものです。
濃〜くドリップされたコーヒーは、コーヒー屋の片隅の小鍋の中で温めめられ
ています。アイスコーヒーを注文すると店主はまず小さなグラスを取り出して
材料を混ぜ合わせ始めます。4分目くらいまでたっぷりコンデンスミルクを注
ぎ、粉ミルクを1さじ、塩を1つまみ。そしてコゲ茶色のドロドロしたコーヒー
を注いでよくかき混ぜます。グラスの中に出来上がった超濃厚なミルクコーヒー
を、氷を満たした大きなジョッキにそそげばラオススタイルのアイスコーヒーの
出来上がりです。
▽ラオスのアイスコーヒー
http://www.i-yan.com/travel/vol27/coffe_laos.html
氷をガシガシとかきわけ、ストローで吸い込むと、まずそのコッテリとした甘
みを強烈に感じます。ごくりと飲み、甘みの裏に隠された強い苦味と香りを味
わうと、舌には少しざらつくような触感が残されます。『アイスエスプレッソ』
とでも呼びたい、この甘く苦いコーヒーを味わうことができるのは、アイスコー
ヒーがテーブルに運ばれてから、わずか3分間だけのことです。
しばらくは徐々に氷が溶けていき、ジョッキとその中のコーヒーがすっかり冷
える頃には、コーヒーの甘みと苦みは薄まってまるくなり、かわりに喉をうる
おす爽快感が生まれます。
ジョッキの氷があらかた溶け、がぶがぶと飲めるくらいの濃度になるのは30分
が経つ頃です。周りを行き交う人の動きや広葉樹の落とす影などを眺めながら、
氷が水になるまでのゆっくりとした時間が過ぎていきました。
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◇今週のボイレコ
タイのスリンにて。その日は夕方から急に風が強くなりました。電線にとまっ
たたくさんの小鳥達がしきりに騒いでいます。やがて遠くで稲妻が瞬き、雲は
どんどんと分厚く重なっていきました。
▽嵐の前に騒ぐ小鳥たち
http://www.i-yan.com/travel/vol27/birds.html
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□ベトナム人男性ソンのこと
ベトナム人についてよく言われる言葉の一つに
『 日本人と同じで本音と建て前をうまく使い分ける 』
というものがあります。例えば、旅行中に出会う一部のベトナム人は、見も蓋
も無い言い方をすれば、“素直で優しい現地人”として積極的に関わりを持ち
ながら、こちらの懐具合を探ってきます。
フエで会ったソンは、親が商店を経営している31歳のベトナム人です。平日の
昼過ぎだというのに「暇なんだ」と言ってブラブラしてるような奴です。ソン
は「暇だから遊びに行かないか?」と私を誘ってくれました。ソンのバイクに
連れられて、近場のネット屋へ行き、ビリヤード場で遊び、喫茶店でベトナム
コーヒーを飲み…。そして「次は何がしたい?」ソンはそう質問してきました。
「何がしたい?」「どこへ行きたい?」この手の質問にはかなり食傷気味です。
タクシー等の運転手がよく使うこのフレーズは、目的地へ徒歩で向かっている
時や、単に散歩をしている時に投げかけられると、迷惑以外の何物でもありません。
ソンが口にしたこの言葉を受けて、私は、ソンは純粋に親睦を深めようとして
いるのでは無く、私の要求を叶えて見返りを受け取りたいという気持ちが含ま
れていることを感じました。それを裏付けるかのように、ソンはむやみやたら
に私を褒めてきます。
「あなたは、楽しくて、誠実で、気さくな人だね」
「ありがとう。でも俺はケチだよ」
しっかり釘を刺しました。
遊び代をソンの分まで払っているとは言え、少しはお礼をしようと思いました。
私はソンを部屋に招き、いくつか日本のコインを見せました。10円玉・50円玉・
100円玉をそれぞれ1つプレゼントすると、ソンは
「ありがとう」
と言いコインを受け取り、すぐ、
「2ドル持ってる?」
と聞いてきました。そりゃ持ってるよ。
「記念にあと2ドルちょうだい」
お前さー…今あげたばかりの日本円を取り返して追い出そうかとも思いました
が、それはちょっとルール違反だと思いなおしました。『焦らず怒らず笑顔で
交渉』という暗黙のルールがベトナムにはある、と私は感じていたからです。
記念品は日本のコインだけにして、とりあえずソンにはお引き取り願おう。
「暗くなる前に、川を見に散歩に行きたいなあ」
「じゃあ、バイクで連れて行くよ」
「OK、行こう」
そんな会話をして部屋の扉を開けた時、ソンはやっとサクッと追い出されよう
としている状況に気付き、ゴネ始めました。
「やっぱり2ドル…」
「ううん。俺ケチだから」
「じゃあ、さっきの日本の500円玉でも…」
私は扉を開けたまま首を振り、ソンをエスコートするかのように手のひらを廊
下へ向けました。ソンはやっと諦めたようで、廊下へと出て行きました。
ベトナムを旅して、飯屋で手を差し出してくる物乞いを黙殺し続けたり、持
てるだけの荷物で行商をしている人と値引き交渉をしたりする中で、お金に
対する切実さはその人の態度に現れることを感じていました。その点、ソン
は私からお金を受け取れないことに不満はあれど別に困りはしないようでした。
それに加え、ソンは、ベトナムでの2ドルの重みに値する働きはしていませ
んでした。そう考えてソンの要求を断った自分を正当化しつつ、でも2ドル
をケチる日本人ってどーなのよ、という気持ちも噛み締め続けていました。
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◇今週のWhat's you mean ?
▽What's you mean ?
http://www.i-yan.com/travel/vol27/what051121.html
Vol.26の当コーナーで取り挙げた『OTOP』について、続報を掲載しました。
情報を提供して下さった東京都の小夜子様どうもありがとうございます。
▽vol.26 What's you mean ?
http://www.i-yan.com/travel/vol26/what051106.html
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◇サイト更新情報
『Meetings 旅で出会った人々』に、『風の噂』を追加しました。
▽Meetings 旅で出会った人々 −風の噂に聞いた人−
http://www.i-yan.com/travel/meeting/uwasa.html
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世界各国の食べ物の情報を募集しています。大概のものは口に入れて
レポートいたします。 宛て先はこちらまで→ myugo60@hotmail.com
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