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┃ 旅の最中のよい香り Vol.029
│ 2005/12/05 http://www.i-yan.com/
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○私は今ここにいます ： カンボジア王国 バンテイメンチェイ州 ポイペト
チュムリアップ・スオ！いいやんです。
モックバイ−バベットの国境を通りベトナムからカンボジアへと入国し、首都
プノンペンを訪れました。そこから有名なアンコールワット遺跡のあるシェム
リアップへは向かわずに、トンレサップ湖の南側を通る道を抜けバッタンバン
を経由して、カンボジアの西の玄関口ポイペトへとやってきました。
タイとの国境町として知られるこの町に留まった目的はカジノです。国境あた
りに何件か、カジノ付きの高級ホテルが建ち並んでいます。カンボジア国内へ
と伸びる道は、大型トレーラーの土ぼこりでかすみ、両側にはバラック交じり
の建物が続き、それだけしか無い、ちょっと両極端な町です。
さーて、メルマガ打ったら初のカジノにチャレンジしてきます。
──今号のもくじ──
■プノンペンで考えた治安のこと
◆連載：今週のボイレコ
■バッタンバンで考えたバイクタクシーのこと
◆連載：What's you mean ?
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□プノンペンで考えた治安のこと
プノンペンにある老舗の安宿『キャピトル』の一室で、私と同行者のゲンはあ
る違和感を語り合っていました。
「プノンペンって、意外と治安は悪く見えないよね」
と。カンボジアの首都プノンペンといえば、現地人が酔って喧嘩して銃撃戦を
繰り広げた話に尾ひれが付き、旅行者の間では『夜な夜な発砲音が聞こえる町』
として恐れられています。私が想像していたのは過密状態の町に危ない連中が
うろつき、旅行者なんか歩いてたらネギ背負ったカモと思われるような所です。
しかし、実際のプノンペンは広大で、人や車が賑やかに行き交い、たくさんの
人々が普通の生活をしています。
▽プノンペンの町の様子
http://www.i-yan.com/travel/vol29/phnompenh.html
旅行者から見える町はほんの一側面でしかなくて、その実体験は治安を測る
“ものさし”ではありません。プノンペンの町の治安を語るとしたら、正式な
統計と事例がなくては確かなことは言えません。旅行者はただ、各自の安全指
標に基づいて、ここは安全と言えるかどうか、を判断しているだけです。
「なんかおなかすいた。ちょっと何か食べに行かない？」
「まじですか。もう９時まわってますよ」
じゃあ明日にしようかな、って、そんな便利な胃袋だったら苦労しないのです。
とりあえず、すぐ近くの屋台村までの道のりが大丈夫そうかどうか見てみよう
ということになりました。階段を降り、玄関口から通りを覗くと…車通りは無
く、人通りは少なく、角には数人の男達が溜まっています。しかしたくさんの
街灯が死角無く通りを照らしており、商店と屋台と宝くじ屋が点々と営業して
います。そしてその先には、目指す屋台村らしき明かりがあります。
「…余裕でしょ」
「僕やっぱ恐いんで戻りますね」
「あい。んじゃ後で」
ゲンは部屋に戻っていきました。私は屋台村へと無事辿り着き、適当に頼んだ
肉乗せチャーハンを食べながら、今いる場所の安全性について今一度考えてみ
ました。夜の闇と銃社会。金持ち旅行者と貧困層の人々。宿からここまで別に
ヒヤリハットすら無かったけれど、それは旅慣れた気の緩みかも知れない。
……答えの出ない自問自答は皿が空くまで続きました。
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◇今週のボイレコ
射撃場の室内は少しひんやりとした空気に満ちていました。AK47の銃身はギター
の柄のように長く重みがあります。１発の弾を打ち出す反動で、その重い銃が
後ろへ跳ね返ろうとします。引き金を引いた瞬間、その衝撃と音は五感を瞬断
し、その瞬間の出来事を把握することは非常に困難です。
▽AK47の銃声
http://www.i-yan.com/travel/vol29/gunshooting.html
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□バッタンバンで考えたバイクタクシーのこと
カンボジアの第二の都市バッタンバンは、川に沿った２ｋｍほどのエリアにほ
とんどの主要な建物が集中している小さな町です。徒歩でぐるりとまわれる事
は旅行者にとって楽な反面、バイクタクシーの運転手にとっては死活問題です。
しかし客を取らねば何も始まらないのがバイタク業界。ひとたびバスがバス降
り場に到着すると、一体どこからと思うほどたくさんのバイタクの運転手が現
れ、壮絶な客引き合戦が始まります。バスステーションの職員は乗客とその荷
物を守るために、バスの横に鉄格子の門を設置し、大袈裟に警棒まで持って、
バスの乗降口に客引きが寄り付かないよう見張ります。
▽バスの到着ビフォーアフター
http://www.i-yan.com/travel/vol29/busarrival.html
このバス降り場で声をかけてきた“ミスターＯＫ”と名乗る男も、例に漏れず
そんなバイタクの運転手でした。
「1000リエル（４分の１ドル）でホテルまで連れてくよ」
「ノーサンキュー。歩いていけるよ」
「500リエルでいいから」
「500？ あーでも、今リエルが無いんだ。400しか」
「ＯＫ、じゃ400でいいよ」
「（すげー、諦めないのかよ〜！）」
貧しい国のバイタク乗りはきつい仕事です。ピカピカで頑丈なバイクに乗るこ
とがまず最低限の条件です。ここに手が届かず借り物のバイクで仕事をする人
もいます。バイクに乗ったらなら町へ出て、人々に声をかけ続けなくてはなり
ません。交差点や市場の出入り口にたむろしては同業者としのぎを削り、お金
になりそうな旅行者と見れば、公園のベンチでも食堂の座席でも、煙たがられ
るのは承知の上で構わず声をかけます。そうして得られる正当な報酬からガソ
リン代を引いた利益は、１回の運転あたり数十円がいいところでしょう。
途中の赤信号で、ＯＫの運転するバイクは停車しました。
「そのゲストハウスは確か３ドルで、シャワーとＴＶがある部屋だったな。
……別の、2.5ドルのところを知っているけど、どうする？」
「そこってここから近いの？」
「うん、町の中心まで歩いてすぐだよ」
「じゃあそっちのゲストハウスまで乗せて行って」
『バッタンバンゲストハウス』のクメール語しか話せない宿の店主を相手に、
ＯＫは宿帳の記入まで手伝ってくれました。私は宿代を前払いして、お釣りの
中から1000リエルのチップをＯＫに渡しました。一方、宿の主人からはいくら
かの仲介手数料が手渡されました。
それからＯＫは手製の観光情報ノートを出して広げ、近郊のお寺や遺跡や展望
ポイントの説明を始めました。４〜５箇所を巡る７ドルのツアーだそうです。
「あなたのガイドブックに載っている金額より安く行くよ。英語の解説付きでね」
彼の勤勉さと仕事のうまさには惚れ惚れします。そんな彼はバイタク業界の氷
山の一角なのだろうなと思いました。
能力と知識を蓄えた優秀なバイタク乗りが巧みに収入を作り出す裏側では、そ
れができずに苦悩するバイタク乗りが大勢いることでしょう。しかし彼らもま
た力強く生きています。ガイドブックに『事前交渉が必要でトラブルも多く』
『中には悪質なドライバーも』なんて書かれながら、朝からバスの発着所にへ
ばりつき、あらゆる業種と提携をして、時に旅行者を騙し、時に違法なものを
扱ってまで金を得ようと画策しています。玉石混交の現実がそこにはあります。
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◇今週のWhat's you mean ?
▽What's you mean ?
http://www.i-yan.com/travel/vol29/what051205.html
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※ジャンクフードから伝統料理、怪しい缶詰や調味料に至るまで、
世界各国の食べ物の情報を募集しています。大概のものは口に入れて
レポートいたします。 宛て先はこちらまで→ myugo60@hotmail.com
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