旅の最中のよい香りindex


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┃   旅の最中のよい香り Vol.035
│     2006/01/27 http://www.i-yan.com/
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 ○私は今ここにいます : オーストラリア ニューサウスウェールズ州 シドニー

いいやんだす。オージー風に読むと「です」は「だす」になります、たぶん。

シドニーは大都市でありながら海が近くて緑も多く、オペラハウスや博物館や
カジノなどの娯楽施設も充実しています。町の中心地には魅力的な店舗の詰ま
ったビルがたくさん建ち並び、路上では持ち時間の決められた大道芸師たちが
入れ替わり立ち代わりパフォーマンスを行っています。昼が活気に溢れる一方
で、夜は人通りは消えて静寂に包まれます。


今回もカジノに関する記事を書きましたが、そんな折、自民党で「カジノ解禁
プロジェクトチーム」が結成されるというニュースが報道されました。これが
良い形で実現して、税金の軽減などに繋がればと思っております。

 ▽asahi.com 自民、カジノ解禁プロジェクトチーム設置へ
 http://www.asahi.com/politics/update/0125/010.html


──今号のもくじ──

  ■ねんがんのティーボーンステーキ(T-Bone-Steak)
  ◆連載:今週のボイレコ
  ■カジノ体験記5 −ブラックジャック入門−
  ◆連載:今週の調味料
  ◆サイト更新情報

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□ねんがんのティーボーンステーキ(T-Bone-Steak)

 「オーストラリアで食べたティーボーンステーキは、ものすごくうまかった。
  あれは間違いなく、世界で一番うまい食べ物だ!」

そう語る40歳のフランス人男性とは、ラオスのルアンナムターで出会いました。
彼は昼夜を問わずウイスキーのコーラ割りを飲みまくり、ついでにうっかりグ
ラスまでも割ってしまう完全なる酔っ払いです。

 「へー、それにはどんなソースがオススメですか?」
 「ソースなんか要らねえよ。塩と胡椒だけで食べるのが一番うまい」

フランス人にここまで言わせるとは。漫画『ミスター味っ子』でしかお目にか
かったことの無かったティーボーンステーキに、俄然興味が湧いてきました。
バンコクでオーストラリア行きを決めた時にもその興味は薄れてはおらず、滞
在中に食べたい料理の筆頭に挙がっていました。

   ◇◇◇

かつて会社の後輩だったUBとブリスベンで再会し、彼女の協力を得てティー
ボーンステーキ情報を集めました。いくつかのステーキハウスを巡り……それ
でもなかなか見つからず、やっとそれに出会えたのはスーパーマーケットの牛
肉売り場でのことした。

指を広げた手のひらほど大きさの、分厚くスライスされた牛肉。真ん中にT字
の骨を挟んでサーロインとフィレの部位が繋がっているゴージャスなステーキ
肉です。本場のオージービーフのお値段は、キロあたり1500円弱と非常に手ご
ろです。


UBの住む家のシェアオーナーであるインドラさんに台所を使わせていただき、
ついに念願のティーボーンステーキが食卓へとのぼりました。

 ▽いただきまーす
 http://www.i-yan.com/travel/vol35/t-bone1.html


焼けて香ばしさが加わった牛肉の濃厚なにおいは空腹を煽りたてます。ナイフ
で大きな肉塊を切り出して口へと運べば、適度な歯応えと共に肉汁がひろがり
ました。端のほうはミディアムに焼けていて、真ん中のあたりはレアな部分が
残る、おいしい焼き加減に仕上げることができました。

がっつり食べ応えのあるサーロインと、柔らかくほぐれるフィレと、味はとい
えばほとんど同じなのですが、その触感にはやはり違いがあります。部位の食
べ比べを1皿でできるのがティーボーンステーキの大いなる魅力だと感じます。

 ▽ごちそうさまー
 http://www.i-yan.com/travel/vol35/t-bone2.html


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◇今週のボイレコ

 ▽シドニーの街角でベンジュを演奏する男
 http://www.i-yan.com/travel/vol35/benju.html


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□カジノ体験記5 −ブラックジャック入門−

ブリスベンで語学学校に通うヤスと一緒に、週末の夜の賑わうカジノホール内
を探検していました。お馴染みのルーレットにバカラ、そして他にも気になる
ゲームがあちこちにあり、勝負に向かうギャンブラー達からは適度の緊張感と、
勝利を期待する熱気がじりじりと伝わってきます。

ふたりが立ち止まったのは、私が前々から気になっていたブラックジャックの
テーブルです。テーブルの最小賭け額は20ドルでした。ポケットの中のチップ
80ドル分が心もとなく感じられるこのレートに、しばらくの間、ゲームの行方
を見守ることにしました。

ディーラーは恰幅の良い中年男性。その体型と裏腹に手さばきは正確で機敏で
す。その正面にはじっくりと腰をすえて打つ1人の老人と、歓談しながら打っ
ている3人の若者が向かい合っています。勝負はどうもディーラーに傾いてい
るようで、プレイヤーの面々の出した数字に対し、ディーラーは必ずそれを上
回るファインプレーを見せます。


私は空いている席の後ろに立ったまま、4枚積んだ5ドルチップをそっとテー
ブルへと置きました。ディーラーは私を一瞥すると、黙ったままカードを配り
始めます。ディーラーの1枚目のカードは『3』、それに対して私の2枚のカ
ードの合計は『19』、初挑戦の今回は8割がた勝ちの見えた勝負になりました。

『21』を越えると負けになるので3枚目のカードは引きません。他のプレイヤー
達もそれぞれ選択を終え、皆でディーラーの結果を固唾を呑んで見守ります。
ディーラーは2枚目以降のカードを引きながら、合計数を読み上げていきました。

 スッ… 『J』「サーティーン」
 スッ… 『A』「フォーティーン」
 スッ… 『2』「シックスティーン」
 スッ… 『5』「トゥエンティワン」

またしてもディーラーは、テーブルに居る全員の中で最高の数字をたたき出し
ました。「ありえねー」とヤス。ありえるけど確かにありえねー。こんな時、
ディーラーはどんな気持ちなのでしょう。連戦連勝で大量の現金チップをプレ
イヤーから巻き上げても、それは自分の懐には一銭も入らないのですから。

ディーラーのおっちゃんの無欲の馬鹿ヅキに対抗すること計3回。私はさくさ
くと60ドルを失ってしまいました。ヤスは「こいつ強過ぎですよ」となかば呆
れています。テーブルの熱気が冷めてきたのを察知してか、中年ディーラーは
席を立ち、代わりに細身の若い男性のディーラーが席に座りました。

   ◇◇◇

「さあ、仕切りなおしですよ皆さん!」と言わんばかりに、若いディーラーは
笑顔で両手を広げて、賭け金を積むよう仕向けます。カードシューターにはシャッ
フルされた数束分のトランプがセットされたままで、何が変わるというわけで
はありません。しかしそれでも、ディーラーが代わると勝負の流れが変わる…
と、多くのギャンブラーは認識しています。

そして実際に大きな変化が起こりました。若いディーラーは毎度毎度、3枚目
に大きな数字のカードを引いてしまい、合計数が『21』を越えてしまいます。
その度に「トゥーメニー!」と言ってプレイヤー全員に配当をくばります。思
い切って賭けた私の最後の20ドルは、その隣に同じチップの山が添えられた40
ドル分のチップの山へと姿を変えました。

「…ここは、倍プッシュでしょう!」「マジですか!?」テーブル上のチップ
を手元には戻さず、前の勝負の賭け金の上に勝ち分の配当を積み上げ、2倍の
高さの山を築きました。一度言ってみたかったんだ“倍プッシュ”。

「トゥーメニー!」若いディーラーはまたしても大きな数字を引き、40ドルを
賭けたこの勝負にも勝ちが転がり込んできました。負けに麻痺していた頭がやっ
と弛緩していくのを感じました。沈み込んでまた浮上して、この“生き残った”
と思わせるような感覚も、勝利の感覚と並んでまた格別です。3回負けて2回
勝って資金は元通り。勝負の興奮だけをもらってこの火遊びを終え、私とヤス
はまたホール内を散策し始めました。


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◇今週の調味料

 ▽インドネシアの焼き鳥『サテー』の調味料
 http://www.i-yan.com/travel/vol35/chomi060127.html


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┃   旅の最中のよい香り
│      発行者:いいやん

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