旅の最中のよい香りindex


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┃   旅の最中のよい香り Vol.039
│     2006/02/27 http://www.i-yan.com/
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 ○私は今ここにいます : インドネシア ジョグジャカルタ市(ジャワ島)

スラマッパギ!いいやんです。

インドネシアのジャワ島へ上陸しました。本日バスの中でスリに遭い、ウェス
トポーチに入れていたパスポート・クレジットカード入りの小袋・ノートを抜
かれ、さらにカメラに手を伸ばしてきたところで発見できて事無きを得ました。

既に仲間の手に渡っていたパスポート等は、発覚と同時に床へ投げ捨てられ、
全員しらばっくれています。物品を確認すると、主犯の男は仲間2人の後ろへ
と移動していました。もう手は届かないので「殴っていい?」と言葉で威嚇す
ると「ノーノー、フレンズフレンズ!」と大柄な男が仲裁するふりをしました。
彼ももちろんスリグループの1人です。不自然に他の乗客を誘導していた車掌
も思えばもグルでした。他の乗客は皆ノーリアクション。……とんでもねーと
ころに来てしまったもんです。危うく旅が中断してしまうところでした。


──今号のもくじ──

  ■みぽりんのこと
  ◆連載:今週のボイレコ
  ■ごはんに出会う陸路 バリ島クタ → ジャワ島ジョグジャカルタ 前編
  ◆連載:今週の調味料
  ◆サイト更新情報

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□みぽりんのこと

旅行者がバリ島のビーチに一歩踏み入れれば、例外なく物売りのおばちゃんた
ちが集まり話しかけてきます。「私あいちゃんよ」「私はのりピー」などと、
なぜか日本の名前を名乗るおばちゃんたちは、首飾り・腕輪・携帯ストラップ・
ミサンガにキーホルダーなどの小物を売り歩くほか、サーフィンの合間に浜へ
戻ってきた旅行者にマニキュアを塗り、髪の毛を編み、マッサージをして眉毛
を整え、時にはサーフボードのワックスを削り取ったりオーダーメイドの編み
物までをもこなしながら、毎日ビーチで奮闘しています。

みぽりんはそんな物売りのおばちゃんの1人。大きな目と口、厚いくちびるの
愛嬌ある顔をしています。現場で身に付けた日本語はもちろんペラペラで、ビー
チに行くたびに日本人旅行者を交えた雑談の輪が出来ていました。まだ小さい
息子のガディは毎日波に乗り、みぽりんは浜で働きます。みぽりんは新たな旅
行者を見つけては近づいて行きますが「みぽりん頑張ってるけど売れないのよ〜」
と言いながら戻ってきたりと、なかなか商売は大変な様子です。

 ▽みぽりんとガディ
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/miporin.html


ジャカルタへ発つ予定だった日の午後、私はビーチへ行き、寝坊してフライト
を逃してしまったことを話しました。「あはははは!くるくるぱー!!」と、
みぽりんは馬鹿ウケしています。その笑顔に救われた気分になり、私は改めて
みぽりんの存在感を認識しました。私は何か思い出の品を買おうと思い、他の
おばちゃんたちがいなくなった時を見計らって、みぽりんの持っている商品か
ら手編みのマスコットを2つ購入しました。

「ユゴちゃんはマブダチだからね、おまけでこの中からもう2つあげる」
「あとこれも。みぽりんが編んだのよ。足に巻いてね」

そう言ってみぽりんはラスタカラーの長いミサンガをくれました。

「もう、早くしまって。他のおばちゃんたちがうるさいから」

このビーチのこの木陰のあたりで20年間仕事をしているみぽりん。毎年ここへ
会いに来る顔なじみもいれば、5年ぶり10年ぶりに訪れて再会するという人も
後を絶たないそうです。

「みぽりんずっとここにいるから、多分2年後くらいに来る時には忘れないでね」

旅での出会いは、決して一期一会ばかりではありません。


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◇今週のボイレコ

ジョグジャカルタに住む悪ムスリムの連中と酒盛り。御禁制のブツだけに価格
は日本よりちょい高め、グラスは一つで常温で、ペットボトルにウイスキーと
コーラを混ぜてカクテルを作り、順にクイッと空けて回し飲みをします。酔え
ば良いと思ってるだろお前ら…。

そんな悪ムスリムたちは音楽活動をしてたとか。酔いどれてギターを弾きなが
ら、インドネシア語の定番ナンバーを歌いだします。

 ▽悪ムスリムが心を込めて歌います
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/bad-muslim.html


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□ごはんに出会う陸路 バリ島クタ → ジャワ島ジョグジャカルタ 前編

※通貨レート参考 1000ルピア≒13円

ある昼過ぎ、バリ島のクタで2週間滞在した部屋を後にした私は、隣町のデン
パサールへと向かう青い小さなバスの助手席へと乗り込みました。

「ジョグジャはウボンからバスが出てる。このバスでウボンまで25000ルピアだ」

さらりとした口調でボッタクろうとしてくる運転手を説き伏せながら、到着し
たデンパサールで5000ルピア札を渡してなかば強引にバスを降ります。そこか
ら30分後に出発した次のバスは、ほどなく都市間バスが発着する大きなターミ
ナル・ウボンへと到着しました。バスを降りた私が運転手に5000ルピアを払う
のを待たずして、あたりにいた客引きたちは一斉に群がって話しかけてきます。

客引きをかわしながらターミナルへ進む私の前を、一人の男が勝手に先導しな
がら話しかけてきます。

「どこ行くんだ?……ジョグジャ行きのバスは18万ルピアだよ。……エアコン
 無しの安い便は無いな。……ギリマヌッ行きだったらエアコン無しのバスが
 あるぞ。これだ、このバスだ。乗れ乗れ。41000ルピアだ」

出発しかけたバスを待たせて値段交渉は出来ず、私は男の言い値を支払って大
きなバスへ乗り込みました。バスはいくつもの町を通り過ぎ、いくつもの車両
を追い抜いて、車が道路脇に落ちた現場の横をゆっくり通り過ぎ、降りだした
スコールの中を高速で駆けながら、4時間が過ぎる頃、バリ島西端の岬ギリマ
ヌッへと到着しました。

 ▽事故現場を見下ろす人々…
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/bali-jawa1.html

 ◇◇◇

まだ止まない雨。夕暮れは近く、厚い雨雲のせいで人気の無い通りの全てが灰
色に見えます。腹を満たすためにたった2軒並んでいる屋台に近づきました。
バナナの葉で包みぎゅっと押し固めたご飯の輪切りに、肉団子入りのスープを
かけたもの、4000ルピア。別に不味いわけではないのだけれど、何となく燃料
を補給しているような気分にさせられる食べ物でした。

 ▽ナシロントンとバクソプントル
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/bali-jawa2.html

港へ向かうと、霧にかすんだ海に錆びたフェリー船が浮かぶのが見えました。
これに身を預けてバリ島からジャワ島へと向かいます。窓口で買った5000ルピア
のチケットはすぐ隣に立つ職員の手によって2つに割かれ、半券を受け取った
私は傘を差して船の乗り場へと向かいました。

 ▽バリとジャワとを結ぶ船
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/bali-jawa3.html

車両と同じ搭乗口から船に乗り、雨漏りのしずくを避けながら階段をのぼり通
路を抜けて、閑散とした客席へと向かいました。こんなところにも物売りがいます。

「サングラス、サングラス……安いね5万ルピアだけ。……じゃあ3万ルピア。
 ……いくらなら買うの?……フォー・ユア・メモリーね」

いつの間にやら船は港を離れ、南西の方角に夕陽が輝きだしました。夕陽に向
かって右側がジャワ島、左側がバリ島。バリ海峡は、両岸を同時に目視できる
ほどの本当に狭いものでした。

 ▽バリ海峡の夕陽
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/bali-jawa4.html

船上でジェリーと名乗る中年の男と知り合いました。ジェリーはスマトラ・ジャ
ワ・バリの各島で生活した経歴を持ち、日本へ行くのが夢だそうです。

「……船が到着するバニュワンギからは、まだこの時間ならジョグジャ行きの
 夜行列車があるはずだ。……バスより列車のが良いさ。列車は途中いくつも
 の村で停まるし、暇だったら車内を歩き回れる。バスはただ窮屈に座ってる
 だけだろう。……ところでアチェに行く予定はあるかい?あそこはな……」

小一時間が過ぎジャワの地を踏んだ時には、既にあたりは暗く、ベチャと呼ば
れる3輪自転車のドライバーたちの呼ぶ声も1日よく働いたと見えて控えめで
した。船着場から歩くこと10分、ジャワ島を横断する鉄道の東端の駅バニュワ
ンギの立派な駅舎が見えました。ベンチには夜行列車を待つ数名の客がいます。
駅前には蛙がさまよい、食堂のテーブルには正体不明の虫が徘徊していました。
7500ルピアの豪華なナシチャンプルをガツ食いしてベンチへと戻ると、22時20分
発の列車は既にホームに到着していました。

 ▽ナシチャンプル
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/bali-jawa5.html

荷物を網棚へと押し込み、シートに腰を下ろし、ひたすら移動し続けた一日が
やっと終わろうとしています。乗務員の配る薄い枕を固いシートに押し当てる
と、振動も騒音も蛍光灯の光も気にならなくなり眠りへと落ちていきました。

 ▽バニュワンギ駅と夜行列車の車内
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/bali-jawa6.html


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◇今週の調味料

 ▽バリのローカル食堂の調味料
 http://www.i-yan.com/travel/vol39/chomi060227.html


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 レポートいたします。  宛て先はこちらまで→ myugo60@hotmail.com

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