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┃ 旅の最中のよい香り Vol.045
│ 2006/05/10 http://www.i-yan.com/
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○私は今ここにいます : インド ビハール州 ブッダガヤ
ナマステ。いいやんです。釈迦が悟りを開いた仏教の聖地、ブッダガヤにいま
す。宿の屋上から見下ろす通りの眺めはのどかです。座席の着いた自転車オー
トリクシャーや、サリーを着た女性や子供たちが満載されてポクポクと進む馬
車などを見る事ができます。
▽ブッダガヤの風景
http://www.i-yan.com/travel/vol45/buddhagaya.html
──今号のもくじ──
■スレンダーさんのお宅に招かれる
◆連載:今週のボイレコ
■インド人がまたこんなことを言ってくる
◆連載:今週の調味料
◆サイト更新情報
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□スレンダーさんのお宅に招かれる
ブッダガヤは町の中心に市場が一つだけの規模の小さな町です。ツーリストエ
リアから20分も歩けば、牧歌的な光景が地平線まで広がる素朴な居住区にたど
り着きます。レンガ造りにモルタルを塗りこんだ壁、牛やヤギが放し飼いにさ
れ、乾燥させた牛の糞が断熱材や燃料として使われています。そんなローカル
エリアにスレンダーさんの家はあります。
スレンダーさんは、インドの各地でガイドとして働き、日本へも出稼ぎへ行っ
た経歴を持ちます。現在は生家で1男6女の子供たちを含む大家族で暮らしな
がら、この地を有名にしてくれた釈迦に感謝と尊敬の心を捧げています。
偶然家の前を通りかかった私をスレンダーさんは家へと招き入れてくれました。
チャイを飲み、豆をつまみ、子供たちと遊び、“ダルゥの花”から作った密造
酒を飲み、タブラー(太鼓)を叩いて歌うというスレンダーさんちの日常に、
私はあっと言う間に飲み込まれていきました。
▽スレンダーさんち
http://www.i-yan.com/travel/vol45/slendershome.html
石の床、かまど、豆を炊く圧力鍋、金属の食器、ヒンドゥーの神々のポスター。
スレンダーさんちではそんな目新しいものに囲まれながら家族と寝食を共にし
て過ごすことができます。今までここを訪れた多くの旅人たちから写真や手紙
が届いています。スレンダーさんはそれらを見せながら友人の日本人たちの話
をしたり、仏教の教えについて身近な例を挙げて説明してくれたりします。
それからインドの大切なしきたりも教えてくれました。多様な生き方の人々が
共存するインドにおいては、人間関係でギブ&テイクを重視することや、厚意
に対し小額の金銭でお礼をすることはタブーでは無いそうです。
「何も与えない人は何も得られません」
畑に種をまけば作物が収穫できる。医者を信じて注射を打てば体調が回復する。
子作りをすれば子宝を授かる。誰かに施しをすればお礼が返ってくる。スレン
ダーさん(と、たぶん多くのインド人)は世の中をギブ&テイクでシンプルに
理解しています。
つまり私は、スレンダーさんの厚意を遠慮する必要は無いし、自分が返したい
分だけのお礼を躊躇せず渡すことができます。私がお礼を渡さなければたぶん
関係はそれまで。インド人の理論的な頭が築き上げたこのやり方は一見ビジネ
スライクにも見えますが、インド人の理解する“ビジネス”との間には明確な
線引きがあるようです。
最後にスレンダーさんは、紙に“9”と書いて私に渡しました。
「私が9を渡すと、あなたには6が見える。
こんどは6を渡すと、あなたには9が見える。これがインドでは大切なこと」
インドの人々の日常は旅行者にとって貴重な体験です。逆に、旅行者にとって
の小額はインドの人々には大金です。受け取る側のことを考えた適切なものを
渡すことが効果的だ、スレンダーさんはきっとそう言いたいのだと思います。
じゃあ、私は8を渡すことにします。そう伝えるとスレンダーさんは、
「グワーッハッハッハー!そいつぁいい!!」
と豪快に笑っていました。
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◇今週のボイレコ
元気いっぱいスレンダーさんちの娘たちがインドの歌をうたいます。
▽スレンダーさんの娘たちがうたうインドの歌
http://www.i-yan.com/travel/vol45/songinindhia.html
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□インド人がまたこんなことを言ってくる
「ハローミスター!」
青果市場にて、今日もインド人に声をかけられ会話が始まります。
▽やおやのおっちゃん
http://www.i-yan.com/travel/vol45/yaoyasan.html
「カメラ見せてくれないか」
いいけどよ。ほい。
「これいくらだ?」
忘れた。
「これ、いくらだ?」
忘れたってば。
「チャイ飲むか?」
いえ結構です。
「…で、これ、いくらなんだ?」
(金の話なんかしたくないのわかんねーのかなあ…)
じゃああんた、この店で一日いくら稼ぐんだい?
「500ルピーだ」
(う、即答されちった…)
「ところで日本のドルは持ってるか?1つ見せてくれ」
日本の円か、無いよ。
「日本にはコインが無いのか?」
いやそうじゃなくて、持ってないよ。
「ルピーしか持ってないのか?」
あ、タイのバーツがある。
「ちょっと見せてくれ」
はい1バーツ。ついでにオーストラリアの50セントもどうぞ。
「これ、くれないか?」
え、なんで?
「…これ、くれないか?」
どっちが欲しいの?
「……これ、くれないか?」
OK!やるよやるよ!
「代わりにパパイヤやるよ」
(えー何コレ。ほこりまみれでブヨブヨじゃん)
パパイヤ好きじゃないからいらない。
「そうか、じゃあチャイ飲むか?ホーイ!ここにチャイ2つ!」
いらねえって!OK、じゃあ俺、行くわ。
「明日も来るのか?」
たぶん来ないよ。
「来いよ。明日の朝!」
もう勘弁して。
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◇今週の調味料
▽インドのホテルのレストランの調味料
http://www.i-yan.com/travel/vol45/chomi060510.html
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