旅の最中のよい香りindex


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┃   旅の最中のよい香り Vol.048
│     2006/06/28 http://www.i-yan.com/
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 ○私は今ここにいます : インド共和国 ウッタランチャル州 リシュケシュ

ナマステ、いいやんです。早いものでインドに着て2ヶ月が経ちました。

最近は『ヨガのふるさと』リシュケシュの、Sri Ved Niketan というアシュラ
ム(修行施設)に泊まり、ヨガとインド哲学を学んでいます。ここでの1日は
以下のようなタイムテーブルに沿って流れ、宿泊者は学びたい分野の演習や講
習(それぞれ喜捨50ルピー以上:1ルピー≒2.5円)に自らの意思で参加します。

   7:00〜 8:00 瞑想
   8:00〜 9:30 ヨガ演習
  10:30〜12:15 インド哲学講習
  16:30〜18:00 ヨガ演習
  22:00     門限

ヨガ演習の効果は絶大で、10日ほどの演習で全身がくまなくストレッチされた
結果、目標の一つだった“Y字バランス”ができるようになりました。

 ▽リシュケシュの風景
 http://www.i-yan.com/travel/vol48/rishikesh.html


──今号のもくじ──

  ■スワミ・ジーのこと
  ◆連載:今週のボイレコ
  ■リシュケシュのベジ料理
  ◆連載:今週の調味料

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□スワミ・ジーのこと

アシュラム(修行施設)でインド哲学レクチャーの講師をしているスワミ・ジー
こと Swami Dharamananda 氏。初老ではあるが背筋はピンと伸び、すっきりと
した細い顔に髪はオールバックで、モミアゲからあごの下を通り反対側まで扇
形にヒゲがもっさり広がる。いつもカンパリオレンジ色のゆったりとした服を
まとい、菩提樹の実でできた首飾りを下げている。

よく響く魅力的な声で冗談を交えながら話をするが、その目つきはまっすぐで
威圧感すら感じるほど。大半が外国人旅行者からなる20名ほどのクラスで、生
徒たちからの質問に理路整然と答えを返す、これぞ知識人といった風情の人だ。

  ◇ ◇ ◇

ここ数日アシュラム内で事務的なゴタゴタが続き、少し神経質なスワミ・ジー
の表情は硬かった。

「人が死ぬとき、肉体・精神・魂はそれぞれどうなるか?」

いつものようにスワミ・ジーは、レクチャー中に哲学的な問いを生徒たちに投
げかける。ある若い白人女性が答える。スワミ・ジーは「ノー」と返す。しか
し女性は納得しない表情だ。スワミ・ジーはまた別の質問を投げかける。先ほ
どの女性が答える。スワミ・ジーは「ノー」と返す。スワミ・ジーが解答を説
明しだすと、女性は「でも…」と言い自分の意見を述べ始めた。

「ストップ!」

スワミ・ジーが強く言った。そしてこう続けた。

「今は私が説明しているのです。もしここがオフィスで、あなたがもっと多く
 を経験し、家庭を持ち、精神的に成熟した人ならば私はいくらでも話を聞き
 ましょう。しかしこの場は違います。あなたは黙って最後まで聞くべきです」

しばらく、誰も口を開かなかった。スワミ・ジーは続けて彼女にこう言った。

「出て行きたければそうして構いません。あなたにはその自由ならあります」

女性は居た堪れなくなり、立ち上がってレクチャールームから出て行った。

「OK、では話を続けましょう」

しかし、部屋の中には重苦しさが渦巻いたような空気が充満していた。生徒た
ちの無言の非難と不満がスワミ・ジーに集中していた。スワミ・ジーはしばら
く正面を見据えていたが、やがてゆっくりと語りだした。

「みなさんは、私の言うこと全てに同意する必要はありません。しかしそれを
 拒絶せずにまずは理解しようとして下さい。そうすることでみなさんは人生
 における新しい視点を知ることができるからです。……ここには、多くの国々
 から色々な人が集まっています。当然、考え方も十人十色でしょう。私はそ
 の一人一人の意見を一つ一つ聞いて修正していくことはできません」

正論だった。よどんだ空気は消え去っていた。その日アシュラムでは、スワミ・
ジーの書いた本が5冊も売れた。


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◇今週のボイレコ

日本の儀礼が礼に始まり礼に終わるように、インドはマントラに始まりマント
ラに終わります。マントラとは、目を閉じて節回しのついた短い言葉を繰り返
すことで、心を落ち着かせて集中力を高める効果があるそうです。

 ▽レクチャー前に皆で唱えるマントラ
 http://www.i-yan.com/travel/vol48/mantra.html


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□リシュケシュのベジ料理

「リシュケシュはベジタリアンフードの本場らしいですよ。
 ほならいいやんさん行かないとあきませんね。ぜひ行ってくださいよー」

インドのある町で出会ったマサシさんはそう言っていた。“本場”とはどうい
う意味だろう、という疑問は、リシュケシュに到着して数日で理解できた。こ
こリシュケシュでは多くの修行者たちが心と体を落ち着けて瞑想にふける。肉
を食べることは心身に過剰な活力を与えると考えられているため、この土地の
性質とは方向性が異なるのであろう。事実、リシュケシュでは旅行者向けのレ
ストランですら肉や卵を使った料理はメニューにひとつも載っていない。

とは言っても、料理に使われている食材の種類を挙げるならば、各種スパイス
類に始まり、野菜、果物、乳製品、豆、小麦、油、蜂蜜…と多種多様だ。ベジ
タリアン料理は制限されて仕方なく作られたものでは無く、食のスタイルの方
向性の一つであることがわかる。

 ▽リシュケシュのベジタリアン料理
 http://www.i-yan.com/travel/vol48/vegfood.html


・野菜キチャリとギー 30ルピー (1ルピー≒2.5円)
インド風の雑炊『キチャリ』。2種類の豆、ウリ、じゃがいも、さやえんどう、
米などが入っている。クミンの香りが強く日本のカレーを連想させられる。辛
味は無く、豆がスープに溶け込んみ全体にまろやかさととろみが感じられる。
表面に浮いた澄ましバター『ギー』がこってりとしたコクを出している。

・トマトほうれん草チーズスパゲティー 45ルピー
インドには意外とイタリア料理が普及している。特にトマトソースのスパゲティ
は旅行者の間で絶大な人気がある。じっくり炒めたガーリックの香りとオニオ
ンの甘み。チーズが溶け込んでとろみのあるトマトソースのまろやかな口当た
り。そして何より、茹でたてのスパゲティを噛み切る時の風味と触感は、麺料
理に乏しいインドの救世主とすら思えてくる。

・アップルサモサ 6ルピー
ちまきのような形で、じゃがいもベースの具が入った揚げ物『サモサ』を知る
人であれば『アップルサモサ』と聞いて目を輝かせない理由が無い。サクッと
揚がったパイのような生地の中に、シナモンを利かせたリンゴの角切り煮込み
が詰まっている。揚げたてアツアツのうまさは格別。

・アーユルヴェーダ朝食セット 50ルピー
インドの古典医学書アーユルヴェーダにのっとった、心と体に優しい朝ごはん。
生地に玉ねぎとスパイスを混ぜ込んであるサクッと軽い触感のロティ(薄焼き
パン)。ミント入りの塩味のヨーグルト。ウリ、カリフラワー、インゲン豆、
トマトなど具沢山のサーグ(炒め煮)。キュウリ、トマト、キャベツ、フレッ
シュミントのサラダ。飲みものは、ラッシーかホットジンジャーハニーレモン
を選べる。


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◇今週の調味料

 ▽デリーの飯屋の調味料
 http://www.i-yan.com/travel/vol48/chomi060628.html


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 世界各国の食べ物の情報をお寄せ下さい。大概のものは口に入れて
 レポートいたします。  宛て先はこちらまで→ myugo60@hotmail.com

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