旅の最中のよい香りindex


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┃   旅の最中のよい香り Vol.063
│     2006/02/25 http://www.i-yan.com/
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 ○私は今ここにいます : エジプト=アラブ共和国 カイロ

アッサラームアライクム、いいやんです。

エジプトというのは、陸路の最果てのようなところです。西のリビアはビザの
取得が困難。南のスーダンは情勢が不安定な上にビザも高価で、外国人登録手
続やら旅行許可証やら不便なルールを強いるお国柄。

だから中東から南下して来た長期旅行者の多くが、ここで休息を取りつつヨー
ロッパやアフリカの各都市へ向けて飛びたつことを選択します。なかなか見つ
からない安いエアーチケットを求めて、カイロ滞在は長引いてゆく…。

2月27日(火)エジプト航空の飛行機でウガンダへ入国予定です。


──今号のもくじ──

  ■エジプト飯“コシャリ”
 ◆連載:ボイスレコーダーリプレイ
  ■“ターメイヤ”から始まるサンドウィッチの世界
 ◆連載:テーブルの調味料


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□エジプト飯コシャリ

エジプトにはコシャリという食べものがある。端的に表現するならば『トマト
ソースのそばめし』。米・マカロニ・スパゲティ・茹で豆・フライドオニオン
などを器に順々に盛り、トマトソースをかけたものがエジプトの庶民食コシャ
リだ。ご飯モノとも粉モノとも麺類ともつかない新ジャンルのファストフード
として、コシャリはエジプトをおとずれた旅行者を驚きと共に迎える。

 ▽コシャリ
 http://www.i-yan.com/travel/vol63/kosyari1.html

コシャリは旅行者の間でたびたび話題に上る。栄養面の欠点や味の単調さなど
を指摘して扱き下ろす人がいるかと思えば、あちこち食べ歩く人もいる。また
その安さと手軽さから、気付けば毎日のように食べているという人もいる。

主都カイロの大通りにはいくつものコシャリの専門店が軒を連ね味を競う。店
の前を通れば、ニンニク入りアツアツのトマトソースの香りが流れてきてうっ
かり食欲をそそられる。まるで日本のラーメン屋のようだ。


コシャリの食べごたえは独特で、くにゃっとしたパスタからぽくっとした豆ま
でいくつもの穀物が入り交じり、意外と飽きがこない。フライドオニオンが優
しい甘みと香ばしさを、トマトソースが酸味とコクと塩気を加える。さらにテー
ブルには唐辛子たっぷりのスパイス油とおろしニンニク入りの酢があり、好み
に応じて加えれば味に奥行きが出る。

さて、そんなコシャリを私はとりあえず混ぜ合わせて食べていた。しかし混ぜ
てから5分ほど過ぎるとトマトソースの水気がパスタに吸収されてしまうこと
に気付いた。そうなってしまうと、もはやそれは均一に味の付いた穀物の塊で
しかなくなり、スナック菓子のように飽きやすい味になる。

それを防止するにはどうしたら良いかと考えたところ、ヒントとなったのは日
本のカレーや中華丼、親子丼などの食べ方だった。これらの食べ物を私たちが
飽きずに最後まで平らげられるのは、無意識に味の濃淡や潤いに変化をつけな
がら食べているからだ。ならば、コシャリのトマトソースをカレーソースに見
たててみたらどうだろう。

そんな私の考えを裏付けるかのように、繁盛しているコシャリ屋の多くは、ト
マトソースを別皿でたっぷり添えるスタイルをとっていた。米やマカロニを混
ぜたところにソースをざっとかけて混ぜながら食べつつ、私はコシャリの楽し
み方の新たな境地へと踏み込んだことを感じていた。

 ▽コシャリのいろいろ
 http://www.i-yan.com/travel/vol63/kosyari2.html


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◇ボイスレコーダーリプレイ

昨年9月にイスラム圏に入って以来、礼拝時刻を告げるアザーンの流れる生活
が続いている。午前5時、朝のアザーンが拡声器から大音量で響きわたるが、
ぐっすり眠る安宿の旅行者たちの夢の中にまで聞こえては来ないのだった。

 ▽朝のアザーン
 http://www.i-yan.com/travel/vol63/azan.html


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□ターメイヤから始まるサンドウィッチの世界

豆コロッケ『ターメイヤ』は、エジプトファストフード界においてコシャリと
双璧を成すほどの存在感がある食べものだ。『ファラフェル』とも呼ばれ中東
で広く食べられている。

ターメイヤは、つぶしたそら豆をベースに調味されたペーストの形を整え、油
で揚げて作られる。サクッとクリスピーにかたまった表面からは、ハーブやゴ
マを加えた揚げ豆の香りが立ちのぼり食欲をそそららえる。中身は粒状にほぐ
れ、やわらかく重みのある味がする。最も一般的な食べ方は生野菜と共に丸い
袋状のアラブパンにつめこみ、ゴマペーストをたらしたターメイヤ・サンドウィッ
チだ。1つ20円也。

 ▽ターメイヤ・サンドウィッチ
 http://www.i-yan.com/travel/vol63/tameiya.html

入り口の大鍋でターメイヤを揚げているような町のサンドウィッチ屋さんでは、
ターメイヤの他にいくつもの惣菜を並べて客を待ち受ける。この惣菜類はそれ
ぞれサンドウィッチとしても楽しめるが、複数を組み合わせて1つのサンドウィッ
チにすることで味の幅はぐぐぐっと広がる。


 ●コンボ1 ターメイヤ+フライドポテト(+生野菜・ゴマペースト)

ターメイヤとフライドポテトは、肉じゃがの肉とじゃがのような間柄だ。レタ
ス・きゅうり・トマトなども加わりパンとの相性がとても良い。豆より滑らか
で軽い風味を持つじゃがいもが、ボリュームを加えつつ全体をまろやかにまと
めている。


 ●コンボ2 ムサカ+マッシュドポテト

ムサカと呼ばれているものは、たっぷりのナスの薄切り・ししとうよりも大き
な青唐辛子・他少量の野菜類を多めの油でくたくたになるほど炒めたもの。マッ
シュドポテトと合わせることで油っぽさと不意の辛さが解消される。


 ●コンボ3 ターメイヤ+ナスペースト

加熱したナスをポテトサラダの要領でペースト状にして冷やした料理がある。
薄味で軽く、まろやかでねっとりとした食べごたえが残る不思議な食感だ。カ
リカリと香ばしいターメイヤとの対比が楽しい。


惣菜はその他に、具入りの固いオムレツ、甘くないお汁粉(乾燥そら豆)、ゆ
でたまご、白チーズペーストなど。店は朝から晩まで夜中まで営業しており、
飯時ともなれば男たちがひっきりなしに訪れてはサンドウィッチを買ってゆく。
大鍋はフル回転でターメイヤを揚げ続ける。

この惣菜類のバリエーションの多さと臨戦状態のキープ具合が、きっとご家庭
では真似できない部分なのだろう。安くてうまくて毎日でも飽きない庶民の味
としてサンドウィッチ屋さんは老若男女さまざまな人の胃袋を支えている。


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◇テーブルの調味料

 ▽エジプトのコシャリ屋のテーブルの上
 http://www.i-yan.com/travel/vol63/chomi070225.html


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