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┃ 旅の最中のよい香り Vol.066
│ 2007/04/13 http://www.i-yan.com/
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○私は今ここにいます : ケニア共和国 ナイロビ
ハロー、いいやんです。ケニアの公用語は英語です。季節はちょうど雨季。ベッ
ドには蚊帳が標準装備されているとはいえ、大量発生している蚊の猛威から逃
れきることは困難です。マラリアなんてもんはかかるときはかかる、そのくら
いの割り切りが無いとアフリカの環境を受け入れることはできないと感じます。
ウガンダの主都カンパラから東へ640km、丸一日近くバスに揺られて、ケニ
アの主都ナイロビへと到着しました。ナイロビ定番の安宿『ニュー・ケニア・
ロッジ』の情報ノートの冒頭には、以下に引用する警告が書かれています。
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数多くの旅行者の集う街ナイロビ、入国前に「ナイロビに行ったけど大丈夫だった」
とか、「安全でいい街だった」とかの情報を得てたいした危険は無いとたかを
くくって来られる方も大勢いる事かと思いますが、所詮この大陸は死の荒野。
数多くの戦士達(旅人)が名も無き修羅達(暴漢)に倒されています。中でも
ここナイロビは羅将ハンの治める街。修羅達が蠢き、我々旅行者を狙っていま
す。現にファルコ(某大学生旅行者)は2日目で倒されています。これから入
国される方は、土日、夜間の行動(特に単独での)に充分注意して下さい。箇
条書きでかまいませんので情報の提供をお願いします。 (D.Miyake氏)
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今回はそんなナイロビからお送りします。
▽ナイロビの風景
http://www.i-yan.com/travel/vol66/nairobi.html
──今号のもくじ──
■ナイロビの夜の恐怖
◆連載:ボイスレコーダーリプレイ
■肉食獣の宴
◆連載:テーブルの調味料
◆訂正
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□ナイロビの夜の恐怖
ケニアの主都ナイロビ、時間は深夜12時。…私は二階建ての宿の屋上から街を
見下ろしていた。週末の街にはまだ人影がちらほらあるが概ね静寂で、ほとん
どの店のシャッターはとっくに下りている。T字路の交わる位置にあるこの宿
からは、正面に大通りと左右に延びる道路が見下ろせる。遠方に光る車のライ
トは徐々に近づいてきて、目の前でカーブして通り過ぎていく。
そろそろ部屋に戻ろうか、そう思い下り階段へと向かった時、背後のいままで
自分がいたあたりから子供の声が聞こえた気がした。誰もいるはずはない。宿
の前の道を、一台の車がアスファルトの音をたてて駆けてゆく。その音が夜空
の空気の中で回折してそんな風に耳に入るのだろうか。
階段へ向かう途中も、とぎれとぎれに感じられる背後の気配に私は注意を向け
ざるをえない。ざわざわざわ…と人のざわめきのような雰囲気に追いたてられ
るようにして私は屋上の外階段を下り廊下へとおりた。今度は聞き違いではな
く、歌声のような旋律が耳に入った。きっとこれは、誰かがリビングで観てい
るテレビの音だろう。
私は廊下の洗面台に向かい手を洗おうとした。しかし耳はどうしても声の気配
に集中してしまう。声は背後の、コの字形の外廊下の吹き抜けの空間から聞こ
える気がする。何人かの女性の声が混ざり合ったような、歌声のような叫び声
のような奇妙な音。そうか、下の階の住人がラジオでもかけているのだ。
そう思い、私は地階の中庭を見下ろそうと向きを変えた。しかし私がくるりと
向きを変えたのと同時に、その声の主が私の背後にまわり込んできたことをはっ
きりと確信した。
声は、私の腰の後ろにある黒いウェストポーチの中から発せられていた。デジ
タル符号化されメモリーに記録された、婚姻を祝う女性たちの歓喜の歌声が、
ボイスレコーダ背面の小さなスピーカーで再生されて音声となっていたのだ。
すべては設計通りの動作だ。そこには超常現象が介入する余地などは全く無かっ
た。やれやれやれ。
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◇ボイスレコーダーリプレイ
42の民族と言語が存在するケニアで、全人口の2割程度の人数が該当すると言
われるキクユ族の婚礼に招かれた。文化の独自性は冠婚葬祭にこそ表れるものだ。
結婚披露宴がまさに始まるその時、婚姻を結ぶ若き男女を祝うため、親族の女
性たちは一致団結して歌い踊り、二人を祝福する。その集団は主役の二人を先
頭に長い行列を成して、笑顔と歓喜と歌声をふりまきながら会場をねり歩く。
▽キクユ族の結婚式 〜新郎新婦入場〜
http://www.i-yan.com/travel/vol66/wedding_kenya.html
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□肉食獣の宴
アフリカの大自然、サバンナの風と星空と野生動物たち、それらをてっとり早
く味わうために多くの旅行者が車をチャーターしてサファリツアーへ出かける。
そして、それとは別の味わい方に興味がある私は、タクシーをチャーターして
郊外のレストラン『カーニボア(Carnivore)』へ出かけた。
▽カーニボアのウェブサイト
http://www.tamarind.co.ke/carnivore/index.php
カーニボアの目玉は野生動物の焼き肉。インパラにダチョウにシマウマにワニ
に…と、ガイドブックに列挙されている動物の味は未知のかたまりだ。立派な
門をくぐり店内に入るとすぐに目に飛び込んでくるのは、大きな囲炉裏のよう
なグリルで焼かれつつある金串に刺さった肉、肉、肉。それを思う存分食べ続
ける客、客、客。店名のカーニボアが意味する“肉食動物”そのものの世界が
そこにあった。
テーブルに座り前菜とスープをさくっと済ませると、テーブル中央の調味料に
旗が立てられて肉の食べ放題がスタートする。「チキングリルです」「ラムチョップです」
「ローストビーフです」「ポークソーセージです」「ベイクドポテトです」……
何人もの店員が代わる代わる、焼きたての肉を金串ごと持ってテーブルへやっ
てくる。
続々と運ばれる肉に鉄板は埋めつくされ、それに続いて胃袋も埋めつくされて
ゆく。ま、まってくれ、野生動物はまだなのか?「クロコダイルです」「きたー!」
「ダチョウのミートボールです」「くださーい」
▽カーニボア店内と取り皿の様子
http://www.i-yan.com/travel/vol66/carnivore.html
さて…ところでインパラは?シマウマは?と聞くと、
「政府が禁止してしまったので…」との答えが返ってきた。残念。
さて、お腹もいっぱいになり気になるお会計は…チーン、1985ケニアシリング。
30ドル弱だ。この価格は、昼に郊外の大衆食堂で食べた豆とコーンを混ぜた食
事のなんと100倍の値段だった。こんな贅沢はバックパッカーにとっては年に
数回のことだ。味覚のサファリ、というに相応しいアフリカの自然の恵みを充
分に味わうことができた。
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◇テーブルの調味料
▽ケニアの大衆食堂のテーブルの上
http://www.i-yan.com/travel/vol66/chomi070413.html
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◇訂正
※Vol.61〜65にかけて、発行年月日が2006年付けになっていましたので
訂正いたします。お恥ずかしい限りです。
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世界各国の食べ物の情報をお寄せ下さい。大概のものは口に入れて
レポートいたします。 宛て先はこちらまで→ myugo60@hotmail.com
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